シャントトラブルは、透析と言う医療行為の中でも経験されている方が多くいらっしゃるのではないですょうか。
主なトラブルとその症状を列記します。
1.狭窄(きょうさく)
シャントの血管が狭くなり、血液の流れが悪くなる状態です。
- 症状:
- シャント音が弱くなる、または高くなる。
- 透析時の血流量が減少する。
- シャント側の腕が腫れる。
治療方法として主にバルーン療法が用いられます。
1.カテーテルの挿入: 血管に細いカテーテルを挿入します。
2.バルーンの膨張: 狭窄部分までカテーテルを進め、バルーンを膨らませて血管を広げます。
3.ステント留置(場合により): 血管が再び狭くなるのを防ぐために、ステントと呼ばれる金属の網を留置する場合があります。
バルーン拡張のイメージ図
ステント留置術のイメージ図
2.閉塞(へいそく)
シャントが完全に詰まってしまい、血液が全く流れなくなる状態です。
- 症状:
- シャント音が全く聞こえない。
- 透析ができない。
- シャント側の腕が冷たく、蒼白になる。
3.感染(かんせん)
シャントやその周囲に細菌が感染し、炎症を起こす状態です。
- 症状:
- シャント周囲が赤く腫れる。
- 熱が出る。
- 痛みがある。
- 膿が出る。
4.瘤(りゅう)
シャントの血管が膨らんでコブ状になる状態です。破裂すると出血の危険性があります。
- 症状:
- シャント部にコブができる。
- 痛みがある場合もある。
瘤の出来たシャント部
シャントトラブルを防ぐための留意点
- シャント側の腕への負担を避ける
1.シャント側の腕で重いものを持たない
2.シャント側の腕枕をしない
3.シャント側の腕をぶつけたり、叩いたりしない
4.シャント側の腕に時計やアクセサリーをつけない
5.シャント側の腕で血圧測定をしない
6.シャント側の腕を締め付けない衣服を着用する - シャントの清潔を保つ
1.シャント部を清潔に保ち、傷口を清潔に保つシャント部をこすったり、掻いたりしない
2.入浴の際は、シャント部を濡らさないように注意する - その他
1.定期的なシャントの検査を受ける
2.シャントに異変を感じたら、すぐに医師に相談する
透析患者のシャントトラブルを防ぐためには、日々の生活習慣の見直しと、シャントへの丁寧なケアが大切です。